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相続税の基礎控除と課税のしくみ

相続税の控除額とは?基礎控除の計算方法と法定相続人の基本を解説

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
相続税の控除額とは?基礎控除の計算方法と法定相続人の基本を解説
相続が始まると、まず気になるのが「うちは相続税がかかるのか」です。結論から言うと、遺産の総額が基礎控除額を超えなければ相続税はかかりません。その基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で決まります。
  • 相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する。
  • 配偶者と子2人(法定相続人3人)なら基礎控除は4,800万円になる。
  • 2015年の改正で基礎控除は引き下げられ、課税対象者が広がった。
  • 配偶者には1億6,000万円または法定相続分までの非課税枠がある。
  • 令和5年に相続税が実際にかかった人は被相続人の約9.9%にとどまる。

控除額 相続税の結論

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遺産の総額が基礎控除額以下なら、相続税の申告も納税も不要です。

私が税理士事務所で相続の相談を受けていたとき、最初に必ず確認したのがこの基礎控除でした。ここを超えなければ、その先の細かい計算はほとんど不要になるからです。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。法定相続人が多いほど枠は大きくなります。

実際、財務省のデータによると相続税が課された人は令和5年(2023年)で被相続人の約9.9%。つまり10人に1人ほどで、多くの家庭は基礎控除の範囲に収まっています。

まず「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を計算し、遺産総額と比べる。これが相続税がかかるかどうかの最初の分かれ道です。

目次

この記事は、相続税の控除のなかでも土台となる基礎控除を中心に、計算方法と6つの控除枠まで順を追って解説します。

目次
  1. 相続税の基礎控除に関する基本知識
  2. 基礎控除の意味と算出方法
  3. 2015年改正による引き下げの経緯
  4. 法定相続人の数え方と注意点
  5. 相続税の計算の進め方(5ステップ)
  6. 基礎控除以外の6つの控除枠
  7. よくある質問

相続税の 「基礎控除」に関する 基本知識

基礎控除とは、遺産の総額から無条件で差し引ける非課税枠のことです。

相続税は、亡くなった人(被相続人)の遺産すべてに一律でかかるわけではありません。一定額までは課税しない、という線引きがあります。その線が基礎控除です。

政府広報オンラインでも、基礎控除を超えた部分にだけ相続税がかかると説明されています。逆に言えば、遺産が基礎控除以下なら税額はゼロ。申告そのものが要らないケースも多いです。

「相続遺産の総額から一定額控除できる金額」のこと

相続税の計算方法を初心者にもわかりやすく10分で解説します
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基礎控除は、相続財産の合計額から差し引ける「最低限の非課税ライン」です。

具体例で見ます。遺産が5,000万円で、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、基礎控除は4,800万円。課税対象になるのは差額の200万円だけです。

もし遺産が4,500万円なら、基礎控除4,800万円を下回るので相続税はかかりません。この場合は申告も基本的に不要です。

実務で多いのは、この「ギリギリ超えるかどうか」のケースです。土地の評価額を少し見直すだけで基礎控除内に収まることもあり、ここは丁寧に計算する価値があります。

基礎控除の算出方法

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めます。

基礎控除の算出方法

法定相続人が増えるごとに600万円ずつ枠が広がる仕組みです。人数別に整理すると次のようになります。

法定相続人の数別 基礎控除額の早見表
計算式:3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

配偶者と子2人なら3人で4,800万円。三菱UFJの相続ガイドでも同じ早見表が示されています。

制度改正により 2015年から相続税の 基礎控除額は引下げ

2015年の相続税法改正で、基礎控除額は従来の6割の水準まで引き下げられました。

改正前は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」。改正後は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」になりました。

2015年改正による基礎控除額の変化
国税庁パンフレットより
時期計算式法定相続人3人の場合
2014年まで5,000万円+1,000万円×法定相続人の数8,000万円
2015年以降3,000万円+600万円×法定相続人の数4,800万円

法定相続人3人のケースで8,000万円から4,800万円へ。3,200万円も枠が縮みました。この改正で、それまで対象外だった家庭の一部が新たに課税対象に入りました。

正直に言うと、この改正のインパクトは大きかったです。都市部に持ち家があるだけで基礎控除を超えてしまう家庭が、実際に増えました。

基礎控除を 理解するうえで重要な 「法定相続人」

相続税の基礎控除 - 誰でも分かる!パーフェクトガイド
相続税の基礎控除 - 誰でも分かる!パーフェクトガイド

基礎控除額は法定相続人の数で決まるため、誰が法定相続人になるかを正しく把握することが出発点です。

法定相続人とは、民法で相続する権利が定められた人を指します。配偶者は常に相続人になり、それ以外は順位が決まっています。

法定相続人の順位(民法)
順位該当する人
常に相続人配偶者
第1順位子(亡くなっていれば孫)
第2順位父母(いなければ祖父母)
第3順位兄弟姉妹

第1順位がいれば第2・第3順位は相続人になりません。順位が上の人がいるかどうかで、人数は大きく変わります。

「民法によって相続する権利がある人」のこと

法定相続人は、遺言の有無にかかわらず民法上の相続権を持つ人のことです。

「民法によって相続する権利がある人」のこと

ここで実務上つまずきやすいのが、戸籍の確認です。被相続人が前婚で子をもうけていたり、認知した子がいたりすると、思わぬ人が法定相続人になります。

私が担当した案件でも、生前は誰も知らなかった子の存在が、被相続人の出生からの戸籍を取り寄せて初めて判明したことがありました。法定相続人を正確に数えるには、戸籍をすべてたどるのが基本です。

法定相続人を1人見落とすと、基礎控除が600万円ずれます。戸籍は出生から死亡まで連続して確認してください。

基礎控除額を算出するときの注意ポイント

相続放棄をした人がいても、基礎控除の計算上は「放棄がなかったもの」として人数に数えます。

つまり、相続放棄した人がいても基礎控除の額は減りません。ここは誤解されやすい点です。

また、養子を法定相続人に含められる数には上限があります。実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで。基礎控除を増やすための無制限な養子縁組はできない仕組みです。

基礎控除の人数カウントで注意すること
状況人数の扱い
相続放棄した人がいる放棄がなかったものとして数える
養子(実子あり)1人まで算入
養子(実子なし)2人まで算入

【5ステップ】 相続税の計算方法

安心してください。そんなに相続税払わなくて大丈夫です。実は意外と抑えられるので必ず確認してください!
安心してください。そんなに相続税払わなくて大丈夫です。実は意外と抑えられるので必ず確認してください!

相続税は、課税価格の算出から税額控除まで5つのステップで計算します。

全体の流れを先に押さえておくと迷いません。基礎控除を引くのはステップ2の段階です。

  1. ステップ1:相続財産を合計して課税価格を算出する。
  2. ステップ2:課税価格から基礎控除を引いて課税遺産総額を出す。
  3. ステップ3:法定相続分で按分し、税率を当てて総相続税額を出す。
  4. ステップ4:実際の相続割合で各人に税額を振り分ける。
  5. ステップ5:配偶者控除などの税額控除・加算を行う。

ステップ3で使う税率は段階的に上がります。法定相続分に応ずる取得金額が1,000万円以下なら10%、1,000万円超3,000万円以下なら15%(控除額50万円)です。

ステップ1: 課税価格を算出する

課税価格とは、預貯金や不動産などプラスの財産から借金や葬式費用などのマイナスを差し引いた金額です。

ステップ1: 課税価格を算出する

現金・預金、土地建物、株式などを合計し、ここから債務と葬式費用を控除します。

注意したいのが生前贈与です。相続前3年を超えて7年以内に受けた贈与のうち、総額100万円までは相続財産に加算しない特例があります。逆に言えば、それを超える贈与は課税価格に足し戻されます。

このステップで土地の評価をどう出すかが、税額を大きく左右します。小規模宅地等の特例を使えば自宅の土地評価を最大8割減らせる場合もあり、ここは専門家に相談する価値が高い部分です。

6つの控除枠のうち、配偶者の税額軽減はとくに大きい。配偶者が取得した遺産は、1億6,000万円までか法定相続分相当額までのいずれか多い方まで相続税がかかりません。

基礎控除以外の主な税額控除
控除の種類内容
配偶者の税額軽減1億6,000万円または法定相続分まで非課税
未成年者控除(18歳−相続開始時の年齢)×10万円
障害者控除(85歳−相続開始時の年齢)×10万円(特別障害者は20万円)
暦年課税分の贈与税額控除加算した贈与にかかった贈与税を差し引く
小規模宅地等の特例自宅などの土地評価を減額
相次相続控除10年以内に続けて相続が起きた場合に控除

未成年者控除と障害者控除は、伊予銀行やりそな銀行の公式コラムでも同じ計算式が示されています。たとえば10歳の相続人なら未成年者控除は(18−10)×10万円=80万円です。

よくある質問

相続税の控除について、相談現場でよく聞かれる質問をまとめました。

よくある質問

控除額 相続税とは?
相続税の控除額とは、遺産から差し引いて課税対象を減らせる金額のことです。最も基本となるのが基礎控除で、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。配偶者と子2人なら4,800万円です。これ以外に配偶者の税額軽減や未成年者控除など6つの控除枠があります。
控除額 相続税の費用は?
控除そのものに費用はかかりません。基礎控除は申告不要なら無料で恩恵を受けられます。一方、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合は、税額がゼロでも相続税の申告書の提出が必要です。申告を税理士に依頼する場合は、その報酬が別途かかります。
控除額 相続税の始め方は?
まず法定相続人を戸籍で確定し、基礎控除額を計算します。次に遺産の総額を見積もり、基礎控除と比べてください。遺産が基礎控除以下なら申告は基本的に不要です。超える場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税が必要になります。

最後に一言。基礎控除の計算自体は単純ですが、法定相続人の確定と土地の評価でつまずく人が本当に多いです。遺産が基礎控除を少し超えそうなら、自己判断せず一度専門家に相談することをすすめます。

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梶原 誠一

元税理士事務所勤務(相続税申告サポート担当・約8年) ・ ファイナンシャルプランナー2級

税理士事務所での相続実務を経て、現在は相続・終活分野の情報サイトで執筆・編集を担当。制度の建前ではなく、実際の申告現場で見えた家族ごとの事情を軸に記事をつくる。

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税理士事務所での相続実務を経て、現在は相続・終活分野の情報サイトで執筆・編集を担当。制度の建前ではなく、実際の申告現場で見えた家族ごとの事情を軸に記事をつくる。

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