相続税はいくらから?基礎控除額の計算方法と課税割合を解説

- 相続税は「課税価格の合計額」が基礎控除を超えたときだけかかる。
- 基礎控除額は『3,000万円+600万円×法定相続人の数』で計算する。
- 配偶者と子2人なら法定相続人は3人で、基礎控除額は4,800万円になる。
- 相続税が実際にかかった人の割合は令和5年で9.9%程度(財務省)。
- 相続税率は法定相続分に応ずる取得金額に応じて10%〜55%。
私は税理士事務所で約8年、相続税の申告サポートを担当してきました。現場で一番多い質問が、まさにこの「いくらから?」です。
この記事では、基礎控除の計算から実際の税率、軽減できる特例まで、申告現場で見てきた目線で整理します。
相続税いくらからの結論

相続税は、遺産総額が基礎控除額を上回ったときにだけかかります。
財務省は、相続財産から借金や葬式費用などを差し引いた後の額が基礎控除額を上回るときに相続税がかかると案内しています。
基礎控除の式は『3,000万円+600万円×法定相続人の数』。たとえば配偶者と子2人なら法定相続人は3人で、基礎控除額は4,800万円です。
目次
この記事は、基礎控除の計算、税率表、軽減できる特例という順で読むと一気に理解できます。

- 相続税がかかる人はどれくらいいるのか(割合と地域差)。
- 相続税はいくらから発生するのか(基礎控除の考え方)。
- 基礎控除額の計算方法。
- 負担を軽くする特例・控除(小規模宅地・配偶者の税額軽減など)。
- よくある質問。
相続税のかかる人は2015年から倍増、東京の場合は2022年でおよそ5.3人に1人
相続税が実際にかかる人は、全国でみると亡くなった人の1割弱です。
財務省は、相続税が実際にかかった人の割合は令和5年で9.9%程度と案内しています。10人に1人弱という水準です。
正直に言うと、現場の感覚でも「相続税が出るのは少数派」です。多くのご家庭は基礎控除の範囲に収まり、申告自体が不要になります。
ただし都市部、特に地価の高い地域では事情が変わります。自宅の土地評価だけで基礎控除を超えてしまうケースを、私は何度も見てきました。
制度改正により相続税の課税割合が倍増

課税割合が増えた最大の理由は、2015年の基礎控除の引き下げです。
かつての基礎控除は『5,000万円+1,000万円×法定相続人の数』でした。これが現在の『3,000万円+600万円×法定相続人の数』に縮小され、対象になる人が大きく増えました。
法定相続人が3人の場合、改正前は8,000万円が控除額でした。それが今は4,800万円。差は3,200万円です。
相続税の課税割合は地域差が大きい
相続税がかかるかどうかは、住んでいる地域の地価に大きく左右されます。

相続財産の評価で最も重くなりやすいのが土地です。同じ広さの自宅でも、都市部と地方では評価額が何倍も違います。
私が担当した中でも、地方では基礎控除に収まったご家庭が、都市部だと自宅の土地評価だけで基礎控除を超えるケースがありました。建物よりも土地の評価が効いてきます。
だからこそ、まず自分の自宅の土地がいくらで評価されるかを把握することが、相続税の見通しを立てる近道です。
相続税はいくらから発生する?
相続税は、相続財産から借金や葬式費用を差し引いた後の額が、基礎控除額を上回ったときに発生します。
財務省は、相続財産の額から借金や葬式費用を差し引くことを明示しています。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も差し引いて考えます。
また、相続開始前の一定期間に贈与された財産を、課税価格の合計額に含めて計算する点にも注意が必要です。金融広報中央委員会も、課税価格の合計額に相続開始前3年以内の贈与財産を含める説明をしています。
つまり「亡くなった日に持っていた財産」だけで判断すると、見落としが出ます。
遺産総額が基礎控除額を上回るときに相続税が発生する

相続税がかかるかどうかの分かれ目は、課税価格の合計額が基礎控除を超えるかどうかの一点です。
考え方はシンプルです。プラスの財産から借金・葬式費用を引き、相続開始前の一定期間の贈与財産を足す。その合計が基礎控除を超えれば課税、超えなければ非課税です。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 不動産・預貯金・株式など | プラスの財産として加える |
| 借入金・未払金 | 差し引く |
| 葬式費用 | 差し引く |
| 相続開始前一定期間の贈与財産 | 加える |
| 合計が基礎控除以下 | 相続税はかからない |
| 合計が基礎控除超 | 超えた部分に課税 |
相続税の基礎控除額・計算方法
基礎控除額は『3,000万円+600万円×法定相続人の数』で計算します。

法定相続人の数が増えるほど控除額が増えます。配偶者と子2人なら3人で4,800万円。配偶者と子1人なら2人で4,200万円です。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
| 5人 | 6,000万円 |
税額そのものは、基礎控除を超えた部分について、法定相続分に応ずる取得金額に税率を当てはめて計算します。国税庁の速算表は次のとおりです。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 1,000万円超〜3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超〜5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超〜2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超〜3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超〜6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の負担を軽減する基礎控除以外の特例・控除
基礎控除を超えても、特例や控除を使えば税額がゼロになることがあります。
代表的なのが小規模宅地等の評価減の特例と、配偶者の税額の軽減です。この2つは適用できるかどうかで税額が大きく変わります。
このほか、障害者の税額控除、暦年課税の贈与税額控除、相続時精算課税制度の贈与税控除、相次相続控除など、状況に応じて使える控除があります。
小規模宅地等の評価減の特例

小規模宅地等の評価減の特例は、一定の要件を満たす自宅などの土地の評価額を大きく下げられる制度です。
自宅の土地は相続財産の中でも評価が重くなりがちです。この特例が使えると土地評価が下がり、結果として課税価格が基礎控除内に収まることもあります。
私の経験上、都市部の相続でこの特例を使えるかどうかは、税額に直結する分かれ目でした。要件が細かいので、自宅がある方は早めに確認しておくと安心です。
なお、この特例を適用してゼロになる場合も、申告書の提出が前提です。
配偶者の税額の軽減
配偶者の税額の軽減は、配偶者が取得した遺産について大きく税負担を抑えられる制度です。

配偶者が相続する場合は、税負担を軽くする仕組みが用意されています。多くのご家庭で、一次相続では配偶者の取得分に税金がほとんど出ないことがあります。
ただし、ここで注意したいのが二次相続です。配偶者がすべてを相続すると、その配偶者が亡くなる二次相続では法定相続人が減り、基礎控除も小さくなります。
二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、一次相続で使えた特例が使えなくなることもあります。一次相続だけを見て配偶者に集中させると、トータルで損をする場合があるのです。
よくある質問
ここでは、相続税で読者が一緒に調べることの多い質問に答えます。
よくある質問
最後に一言。基礎控除を超えそうかどうかは、自宅の土地評価で大きく動きます。まずは法定相続人の数を数えて基礎控除額を出し、超えそうなら早めに専門家へ。これが一番ムダのない進め方です。
