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二次相続の節税対策

二次相続対策のやり方|一次相続から始める節税シミュレーション完全ガイド

梶原 誠一 / 更新:2026-06-24
二次相続対策のやり方|一次相続から始める節税シミュレーション完全ガイド
親が亡くなって相続税の手続きを終えたとき、多くの人が「とりあえず母さんに全部相続させておこう」と決めます。実はこれが、数年後の二次相続で子どもの税負担を膨らませる一番の落とし穴です。二次相続対策のやり方は、一次相続の遺産分割をどう決めるか、ここから始まります。
  • 二次相続対策は「一次相続の遺産分割をどう決めるか」から始まる。
  • 二次相続では配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)が使えない。
  • 二次相続では法定相続人が1人減るため、基礎控除が600万円、死亡保険金の非課税枠が500万円減る。
  • 生前贈与(年間110万円の基礎控除)と生命保険の非課税枠が、遺産分割以外で使える二大対策。
  • 10年以内に相次いで相続が起きたら、相次相続控除で前回の相続税の一部を取り戻せる。

私は税理士事務所で約8年、相続税申告のサポートを担当してきました。その現場で痛感したのは、一次相続だけで節税を考えると、二次相続で帳尻が合わなくなる家族が本当に多いということです。この記事では、実際の申告現場で見えたつまずきも交えて、やり方を順に説明します。

二次相続 対策 やり方の結論

絶対やっておくべき二次相続対策5選
絶対やっておくべき二次相続対策5選

二次相続対策のやり方の結論は、一次相続で配偶者に財産を集中させすぎず、両方の相続を合算したシミュレーションで分割を決めることです。

所要時間の目安をお伝えします。シミュレーションそのものは、財産が整理できていれば半日〜1日。ただし財産の洗い出し(不動産の評価、預貯金、保険)に数日〜数週間かかると見ておいてください。

難易度は中程度です。電卓と財産目録があれば自分でも概算は出せます。ただし小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が絡むと判定が複雑になるため、最終判断は税理士に確認するのが安全です。

前提条件として、次の3つを用意してください。1つ、一次相続で誰が亡くなり相続人は何人か。2つ、財産の総額と内訳(不動産・預貯金・保険)。3つ、配偶者自身がもともと持っている財産の額。この3つ目を忘れる人が、現場では一番多いです。

二次相続対策の核心は「節税テクニック」ではなく「一次相続の分割を、二次相続まで含めて決めること」です。順番を間違えると後から取り返せません。

1.相続税対策は二次相続のことも考えた計画を

相続税対策は、一次相続と二次相続を一つの流れとして計画したときに初めて効果が出ます。

1.相続税対策は二次相続のことも考えた計画を

二次相続とは、最初の相続(一次相続)で遺された配偶者が、その後亡くなったときに起こる相続のことです。父が亡くなって母と子が相続するのが一次相続、その母が亡くなって子だけが相続するのが二次相続、という流れになります。

なぜ二次相続が問題になるのか。理由ははっきりしています。二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、相続人も1人減るからです。配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した正味の遺産額が1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続税がかからない、非常に強力な制度です。

この制度は配偶者がいるからこそ使えるもの。二次相続では配偶者本人が被相続人になるため、当然ながら適用できません。一次相続で「配偶者に多く相続させれば税金がかからない」と喜んだ家族が、二次相続で重い税額に直面する。これが現場でよく見た光景です。

1-1.相続税対策は一次相続のことだけを考えていると不利に

一次相続だけで節税を最大化すると、二次相続で基礎控除と非課税枠が縮み、トータルの税額が増えます。

二次相続で不利になる理由を、数字で整理します。まず基礎控除。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。一次相続で母と子2人なら相続人は3人、二次相続で子2人だけになると相続人は2人。基礎控除が600万円減ります。

一次相続と二次相続で減る控除・非課税枠(相続人が1人減る場合)
項目計算式減る金額
相続税の基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数600万円
死亡保険金の非課税枠500万円×法定相続人の数500万円
死亡退職金の非課税枠500万円×法定相続人の数500万円

さらに見落としがちなのが、配偶者自身の財産です。母が父から相続した財産に、母がもともと持っていた財産が合算されて二次相続の課税対象になります。一次相続で母に寄せすぎると、母の財産がふくらみ、二次相続の税額がそのぶん跳ね上がるわけです。

相続税は累進課税なので、課税対象が増えれば税率も上がります。正直に言うと、ここを軽視した分割は、あとから「あのとき配偶者に寄せすぎなければ」と後悔につながりやすい。

1-2.有効な相続税対策にとってシミュレーションは必須

【超重要】絶対にやっておくべき二次相続対策を完全網羅して解説します。
【超重要】絶対にやっておくべき二次相続対策を完全網羅して解説します。

二次相続対策は、一次相続と二次相続の税額を合算したシミュレーションをしてから分割を決める、これが唯一の正しいやり方です。

具体的な手順を番号で示します。1ステップ=1動作で進めてください。

  1. 手順1:一次相続の財産総額と相続人の人数を確定する(ここまでで課税対象の全体像が見える)。
  2. 手順2:配偶者がもともと持っている財産額を書き出す(これを足さないと二次相続の試算が狂う)。
  3. 手順3:一次相続の分割案を複数つくる(例:配偶者に全部/法定相続分/配偶者ゼロ)。
  4. 手順4:各案で一次相続の税額を計算する(配偶者の税額軽減を反映する)。
  5. 手順5:各案の後に残る配偶者の財産を、二次相続の課税対象として計算する。
  6. 手順6:一次+二次の合計税額が最も小さい案を選ぶ(ここで完了)。

この手順を踏むと「一次相続だけ見れば配偶者に全部相続させるのが最安、でも二次まで合算すると子に一部相続させたほうが安い」という逆転がはっきり見えます。

うまくいかないときは、配偶者の財産額を入れ忘れているケースがほとんどです。母名義の預金や母が契約者の保険を見落とすと、二次相続の試算が実態とずれます。手順2に必ず戻ってください。

二次相続を含めた合算シミュレーションができていれば、この対策は8割完成したと考えてよいです。残りは生前贈与や保険の上乗せです。

1-3.配偶者よりも子が相続するほうが有利な財産がある

値上がりが見込まれる財産や、収益を生む財産は、一次相続で子に相続させたほうが二次相続で有利になります。

1-3.配偶者よりも子が相続するほうが有利な財産がある

理由はシンプルです。配偶者が相続した財産は、配偶者の存命中に値上がりすれば、その増えた分も含めて二次相続で課税されます。最初から子に渡しておけば、その値上がり分は二次相続の課税を受けません。

たとえば賃貸アパートのような収益物件。家賃収入が配偶者に貯まっていけば、二次相続の財産がそのぶん増えます。私が見てきた範囲では、こうした収益不動産は子に相続させる判断のほうがしっくりくることが多かったです。

一方で、自宅は別です。配偶者が住み続ける自宅は、小規模宅地等の特例で評価額を最大80%減額できるため、無理に子へ移すより配偶者が相続したほうが有利な場合があります。財産の性質ごとに分けて考えてください。

2.遺産分割以外での2つの相続税対策

遺産分割以外で効く二次相続対策は、生前贈与と生命保険の2つです。

分割で配偶者の取り分を調整するのが一次相続段階の対策なら、配偶者が存命のうちに財産を計画的に減らしていくのが、二次相続そのものへの直接の対策です。この2つは性質が違うので、両方を組み合わせるのが現実的です。

2-1.生前贈与は早期に計画的にすすめる

これ知らないと損します!絶対にやっておくべき二次相続対策
これ知らないと損します!絶対にやっておくべき二次相続対策

生前贈与は、暦年課税の年間110万円の基礎控除を使い、できるだけ早く始めるほど効果が大きくなります。

暦年課税の贈与税には、受贈者ごとに年間110万円の基礎控除があります。子や孫に毎年コツコツ渡せば、その分だけ配偶者の財産が減り、二次相続の課税対象が小さくなります。

ただし注意があります。2024年1月1日以後の贈与から、相続開始前7年以内の贈与は相続税の課税対象に加算される「7年ルール」が適用されます。亡くなる直前の駆け込み贈与は、加算されて効果が消えるということです。

だからこそ「早期に・計画的に」が肝です。配偶者が高齢になってから慌てて始めても、7年ルールで加算されて空振りになりかねません。私なら、一次相続が終わった時点ですぐに贈与計画を立てます。

2-2.生命保険を活用した節税と納税資金対策

生命保険は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使え、同時に納税資金を現金で確保できる、二役の対策です。

2-2.生命保険を活用した節税と納税資金対策

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。配偶者が契約者・被保険者で子を受取人にしておけば、二次相続のときに非課税枠のぶん課税対象を圧縮できます。

前述の死亡保険金の非課税枠は、現金を遺せる点でも優れています。相続税の納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内。不動産が多くて現金が足りない家族にとって、保険金は納税資金そのものになります。

実務で困るのが「土地はあるのに納税の現金がない」というケースです。保険を整えていれば、慌てて土地を安値で売る事態を避けられます。節税と資金繰り、両方に効くのが保険の良さです。

3.相続税対策以外に配慮すべきこと

二次相続では、税金だけでなく「遺産争い」と「配偶者の生活」への配慮が欠かせません。

節税ばかり追って、家族が揉めたり、配偶者の老後資金が足りなくなったら本末転倒です。ここは税額の話とは別の軸で考える必要があります。

3-1.遺産争いを招かないための対策

【相続専門解説】結論、これが正解!二次相続で失敗しないための重要対策5選!
【相続専門解説】結論、これが正解!二次相続で失敗しないための重要対策5選!

二次相続は配偶者という調整役がいなくなるため、子どもだけの分割になり、一次相続以上に揉めやすくなります。

一次相続では「お母さんが決めたなら」とまとまった話が、二次相続では子ども同士の直接対決になります。間に立つ人がいないからです。

対策として有効なのが遺言と相続登記の整理です。とくに2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を相続で取得した人は相続を知った日から3年以内に登記申請が必要になりました。一次相続の不動産を放置していると、二次相続でさらに権利関係が複雑になります。

私の経験では、一次相続のときに不動産の登記まできちんと済ませた家族は、二次相続でも揉めにくい。逆に「いったん母名義で放置」が、後の争いの火種になります。

3-2.配偶者の住居と生活費についても配慮を

節税のために子へ財産を寄せすぎると、配偶者の住む家と老後の生活費が不足する危険があります。

3-2.配偶者の住居と生活費についても配慮を

二次相続の節税を意識するあまり、一次相続で配偶者の取り分を絞りすぎる人がいます。これは危ない。配偶者が10年、20年生きる可能性を考えれば、生活費の現金は十分に残すべきです。

自宅については、小規模宅地等の特例で評価減を受けつつ配偶者が住み続ける形が、住居の安定と節税を両立しやすい選択です。前述のとおり、この特例は要件を満たせば評価額を最大80%減額できます。

そしてもう一つ、税の救済策があります。相次相続控除です。10年以内に相次いで相続が発生した場合、前回の相続で課された相続税の一部を二次相続で控除できます。一次相続から早い時期に二次相続が起きてしまった家族には、この控除が効きます。

二次相続対策は「最も税金が安い分割」ではなく「配偶者が安心して暮らせて、かつ税負担も抑えた分割」を選ぶこと。優先順位を間違えないでください。

よくある質問

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梶原 誠一

元税理士事務所勤務(相続税申告サポート担当・約8年) ・ ファイナンシャルプランナー2級

税理士事務所での相続実務を経て、現在は相続・終活分野の情報サイトで執筆・編集を担当。制度の建前ではなく、実際の申告現場で見えた家族ごとの事情を軸に記事をつくる。

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税理士事務所での相続実務を経て、現在は相続・終活分野の情報サイトで執筆・編集を担当。制度の建前ではなく、実際の申告現場で見えた家族ごとの事情を軸に記事をつくる。

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